奥利根 白沢山(1952.8m)、平ヶ岳(2141m)、沖ノ追落(1780m)、水長沢山(1695.4m) 2013年5月5日  カウント:画像読み出し不能

所要時間 4:30 1911m峰−−5:40 白沢山−−6:45 平ヶ岳−−7:29 1870m肩−−7:46 沖ノ追落−−8:24 1762m峰直下−−8:54 水長沢山−−9:03 1690m平坦地(休憩) 10:11−−10:33 1762m峰−−11:15 沖ノ追落−−11:49 1870m肩(休憩) 12:11−−13:26 平ヶ岳(休憩) 14:00−−14:50 白沢山(立ち話) 15:01−−16:08 1911m峰(幕営)

場所群馬県利根郡みなかみ町/新潟県魚沼市
年月日2013年5月4〜6日 残雪期幕営
天候快晴
山行種類残雪期籔山登山
交通手段マイカー
駐車場鳩待峠駐車場。ただし5月中旬以降はマイカー規制開始でマイカーは麓の戸倉まで
登山道の有無無し
籔の有無残雪に埋もれて無し
危険個所の有無一部トラバースが急で滑落注意
山頂の展望どの山頂も大展望
GPSトラックログ
(GPX形式)
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コメント鳩待峠から入り、2泊3日で1911m峰をベースに矢種山、長水沢山、日陰山を往復した2日目で、1911m峰から水長沢山を往復。平ヶ岳までは前日のトレース多数だが水長沢山の尾根に入るとトレース皆無(当たり前)。1900m峰手前の尾根は稜線直上は雪庇が張り出して西側を巻く個所があり緊張させられるが、その後はおおよそおとなしい尾根歩き。沖ノ追落は巨大雪庇が山頂で大展望。そこから水長沢山までが遠く、台地状のゆるい領域の一番奥が山頂。ここも雪庇に覆われ大展望


赤倉岳の登り途中から見た水長沢山の稜線
ルート図。クリックで拡大


寝坊により明るくなって出発 でもガスっている・・・・
白沢山、平ヶ岳ともガスの中 日の出
鞍部より白沢山 鞍部付近は平坦で幕営適地
広い斜面を登る 雲がかかった赤倉岳
こんな場所でガスられたらイヤだけど、今は天候は回復!
振り返る
白沢山直下の登り
白沢山から見た南の展望
白沢山から見た平ヶ岳
丹後山から縦走してきた若者2人 若者が幕営した場所
振り返る
これから歩く稜線。水長沢山は遠い
平ヶ岳へ突き上げる。広大な斜面 平ヶ岳山頂。ポールが立っている

積雪計にはエビのしっぽ 平ヶ岳三角点方面
平ヶ岳から見た南側の展望(クリックで拡大)
平ヶ岳から見た西側の展望(クリックで拡大)
これから下る尾根 平ヶ岳から西側ピークへ下る
ここが尾根入口。出だしは急だがノーアイゼンで下った このちょっと下が一番急だがアイゼン無しでOKの雪質だった
傾斜が緩む 振り返る
尾根が狭まると東側が切れ落ち西を巻く
下部は滑れば止まらない傾斜で滑落注意でアイゼン装着
1900m峰
1900m峰より下る。ここは安全地帯 振り返る
沖ノ追落へ登り返す
これが沖ノ追落 沖ノ追落直下
沖ノ追落山頂。雪庇上が最高峰
沖ノ追落から見たパノラマ展望(クリックで拡大)
沖ノ追落からさらに進む 1762m峰への登り
雪庇崩壊を恐れて北側を巻く 巻きすぎてかなりの急斜面をトラバース
1762m峰てっぺんへ登らず北を巻いた 巻いた斜面
稜線に復帰。でも雪庇を恐れて北を巻く
まだ水長沢山は遠い
1690m肩から見た水長沢山。一番奥のピークってのが気が重い
1690m平坦部
1700m峰南を巻く 最後の登り
この雪庇上が水長沢山 水長沢山山頂
水長沢山山頂より西を見る 風が避けられる場所で休憩
水長沢山から見たパノラマ展望(クリックで拡大)
1762m峰への登り
デポしたアイゼンを回収 1762m峰。帰りはてっぺんを踏んだ
1762m峰から見た赤倉岳 まだ平ヶ岳は遠い
1762m峰を振り返る 沖ノ追落へ登る
沖ノ追落へ登る 沖ノ追落を越えて下る
1900m峰への登り返し 帰りの登りはきつい!
1900m峰。手前で休憩 1900m峰より先は西のトラバースが多い
屋根尾根地帯通過 籔はそれほど濃くないような
平ヶ岳まで標高差150mの登り返し 日差しに焙られて暑い! 空は青い!
やっと急斜面を登り終えて振り返る。水長沢山はもう遠い
平ヶ岳山頂へトレースを辿る。やっぱトレースは楽だ
西を振り返る。私のトレースがくっきり ガスられたらヤダなぁ

平ヶ岳山頂 まだエビのしっぽが残っていた。気温は低い
平ヶ岳から見た西側の展望(クリックで拡大)。ちなみに山頂部が平坦過ぎて本当の山頂から見えません
平ヶ岳から見た南側の展望(クリックで拡大)。ちなみに山頂部が平坦過ぎて本当の山頂から見えません
休憩が終わって出発時にやってきた3人パーティー テントまでまだ2時間かかる
広い尾根を下る
やたらと広い尾根
会津駒ヶ岳〜丸山岳の稜線。今年の連休も入山者がいただろう
白沢山への登り 白沢山山頂部。ここもだだっ広い
白沢山山頂 白沢山山頂ですれ違った男女ペア
これから平ヶ岳だとどこで幕営だろう?
1895m峰 1895m峰から見た1920m峰
1790m鞍部 1790m鞍部より1920m峰へ登り返し
1920m峰
1920m峰から見た平ヶ岳
1920m峰から見た大白沢山 1911m峰。黄色いテントが見える(私のじゃない)
1911m峰のテント。白沢山ですれ違ったペアのものだった 自分のテントに到着。このまま幕営


 夜中は少しだけ寒かったが熟睡できないほどではなく、まあまあ快適だった。今回からアルミ蒸着のロールマットではなくエアーマットを投入したが、高価な分だけ断熱性は良好で背中の冷たさを感じることはなかった。昔のエアーマットは重かったが今時の製品は軽く、体積も小さいので利用価値は高い。今後は夏山もこいつの登場機会が増えそうだ。もう藪に銀マットを絡みとられる心配をしなくて済む。

 明け方のテント内の気温は-3℃、思ったよりも冷え込まず昨日作った水が僅かに凍っただけだった。標高2000m近くだと今の時期は下手をすれば-10℃まで下がるので寝袋の中に水を入れないと夜間に凍ってしまって朝飯が作れないこともあるのだが。天気予報では寒気は昨日で抜けると言っていたがその通りになったようだ。風はややあるが行動に支障はないだろう。朝飯を食って出発。今日は行動開始時から余分な荷物は無い。ワカン、アイゼン、ピッケル、飯、水に防寒着。好天が予想されるので麦わら帽子も忘れない。

 平ヶ岳までのトレースは明瞭だし気温がまだ低いのでラッセル皆無、まだワカンを使わずとも全く潜らず足が軽くて快調だ。1920m峰に立つが先の稜線上には人の姿はなく、私が今日初めてのお客らしい。ただ、いやらしいことにガスがかかっているではないか。平ヶ岳も見えない。平ヶ岳山頂部はだだっ広く、このままガスっていたら水長沢山の尾根入口が判別できるかどうか心配だ。しかし天気予報では今日は北日本を除いて1日晴れの予報。ガスが晴れることを期待しよう。

 1790m鞍部は平坦で樹林が深く風が遮られ、幕営にいい場所だ。広い尾根を登り返してシラビソ樹林を抜けると白沢山手前の1895m峰。この付近も広くて視界が無いとイヤな場所だが、ガスは薄まってきているようだ。左手に見える赤倉岳にかかっていたガスはかなり薄まっているし、水長沢山の尾根は見えている。

 緩やかに登りきると白沢山山頂に到着。目の前には平ヶ岳がどーんと姿を現す。もうガスは完全に消え失せて快晴の空がバックだ。これで安心して水長沢山にアタックできる。日中は晴れすぎて暑くなるかな? そのために1リットルも水を担いできたのだった。

 いったん下って広い稜線を登り返し始めたところで2人組の若者とすれ違う。大ザックを背負って下ってくるので尾瀬からの往復ではなく大水上山方面からの縦走に違いない。話を聞くと丹後山からだそうで、私が灌木藪で苦労した藤原山〜にせ藤原山間の稜線は雪が付いて藪漕ぎ皆無だったそうだ。今日はこの先の平坦地で幕営してまだ出発したばかりだという。今日で縦走を終えて下山だろう。御苦労さまでした。こちらは今日が核心部である。

 なおも広大な斜面を登り続けて平ヶ岳山頂に到着。今は一面の残雪で立ち木は全く見えない。もっとも、夏の時期に登ったときに山頂は広大な湿原だったと記憶しているので当然だが。しかしてっぺんには高さ3,4mの棒が突き出していた。近付くと積雪計らしい。エビのしっぽがびっしりと付いていた。温度計を見ると-6℃まで下がっていた。西寄りの風が冷たく軍手では役者不足なのでオーバーミトンを装着。

 ここでまじめに地形図を見ればよかったのだが、山頂から尾根が派生すると記憶違いしていてトレースを外して南に下ったが、小尾根が出てきたが目的の尾根につながっていなかった。山頂の一つ西側のピークから尾根が派生していたのだ。巻き気味に主稜線に戻り、西側ピークから南に下り始める。まだ雪は締まっていてワカンもアイゼンも必要ないが、稜線上よりも南斜面に下った方が雪が締まってきた。尾根は広いが傾斜は徐々にきつくなり、雪が締まっているので滑ったら止まるか心配になってきた。アイゼンを付けた方が安心だがもう平坦な場所はなく、このままノーアイゼンで踵に力を入れて踵だけ雪面に食い込ませて強引に下っていった。ここは素直に最初からアイゼンを装着すべきだった。帰りにこれを登り返すのは体力的、精神的に疲れそうだ。

 傾斜が緩んでからも少しの間は尾根は広い。ただ東端は雪庇の突端で崩壊の危険があるので西寄りを進む。尾根が狭まるとシラビソ樹林が登場し、東側は切れ落ちているのが見えるようになる。ここも尾根直上の雪庇縁は崩落の危険があるので西側を巻き気味に進む。シラビソ樹林のトラバースだが場所によっては滑落しそうな傾斜もあり、平坦な場所でアイゼンを装着、これにピッケルがあるのでとりあえず安心だ。尾根直下に近いほど傾斜は緩く、下部は滑ったら止まりそうにない傾斜なのでできるだけ尾根に近い部分を歩くが、そうすると今度は波打った雪庇でアップダウンがあって疲れ、ルート選択が悩ましい。できるだけ下を見ないようにしてトラバースを続けた。

 1900m峰が近付くと痩せ尾根が少し広がってトラバースの危険度が低下、安心して歩けるようになった。振り返ると平ヶ岳が高い。肝心の水長沢山は地形図を見ると尾根の幅が広がった平坦部の一番奥のピークだが、それらしき広い場所はまだかなり先だ。1870m肩の下り斜面も尾根が広く危険はなく、淡々と下れる。次のピークが沖ノ追落で、そこまでの稜線は南側に雪庇が張り出しているので、やや北寄りを進んでいく。この稜線はほぼずっと北斜面側は樹林、南斜面は切れ落ちて樹林皆無で展望がいい状態が続く。

 沖ノ追落の登りも特に危険はなく、雪庇崩壊を避けて北寄りを登っていけば特に問題はない。山頂部は巨大雪庇の上らしく、雪面から突き出した樹木は北斜面のてっぺんよりかなり下に存在している。当然、今の沖ノ追落山頂は遮るものは皆無の大展望で360度。明日登る予定の日陰山もよく見えている。ここから見ると最後の下りがちょっと急そうだが、それ以外は特に危険個所があるようには見えない。まあ、実際に現場に行ってみないと分からないけど。ここから見る水長沢山はまだ遠く1762m峰を越えてもまだその先だ。まだ体力は大丈夫なので休憩せずにそのまま進む。

 沖ノ追落の下りも1870m肩の下りと同じような広い斜面で快適に下れる。その先もこれまた同じように南に雪庇が張り出しているので北寄りに進むのが安全だった。鞍部から1762m峰の登り返しはなかなかきつく、巻き気味に登っていたらえらい急斜面の登りになってしまった。もう少し尾根に近い部分を登った方が良かったかな。雪は表面のみ締まった新雪が積もっているので急斜面でも足首くらいまで潜るので滑落の心配はない。面倒なので1762m肩はトラバース気味にショートカットして稜線に復帰した。

 1762m峰付近は東西に長いピークで、ここも南側が切れ落ちて雪庇崩壊のリスクがあるので尾根直上ではなくやや北寄りを進む。この尾根はこのパターンが長いなぁ。ピークの西端に出るとやっと水長沢山が間近に見えるようになる。台地のような平坦な場所であり、3つのピークから構成される。一番目立つのは北側に飛び出したピークであるが、地形図を見るとこいつは1700m峰であり山頂ではなく、もっと奥の一番西の細長いピークが水長沢山だ。まだ1kmくらい距離はあるだろうか(実際は約550mだった)。もう危険個所があるとは思えず、ここでアイゼンをデポしてワカンに履き替える。さすがワカンでほとんど潜らなくなった。

 広く緩やかな尾根を下って水長沢山の広大な大地の一角へ。ここは立ち木は僅かしかなくほぼ真っ白。ここまで新雪に埋もれた足跡は見かけなかったので、この連休中で私が最初の訪問者らしい。大型連休以外にここまで足を延ばす人がいるとは思えず、今年の訪問者は私が最初で最後かもしれない。ちなみに帰ってからネット検索したが、水長沢山の記録はすかいさんの簡単なものしか発見できなかった。

 広大な台地を横断、1700m峰の南を巻いて水長沢山山頂ピークへ最後の登り。東西に長い山頂でほぼ立ち木皆無、今の時期の最高点は東西に長い雪庇で、少し北に下った場所に矮小な木が立っているのみ。GPSで位置を確認しながら進んで雪庇の一角で山頂を示した。やっと到着! これで今回の計画のメインが達成だ。ここまで来ると奥利根湖は近く、もしあそこを船で横断できれば下から攻めた方が短時間でここに立てるかもしれない。谷を隔てた西側は小穂口山。ここは来年か。まだ真っ白だ。平ヶ岳山頂では雲がかかっていた上越国境の山々も今はすっきり晴れていた。

 北西の風がややあって水長沢山山頂では風を避けられる場所がないので1700m峰の南側まで移動して休憩。本日最初のまとまった休みで、飯を食った後にザックと断熱マットを広げて横になったらいつの間にか寝てしまっていた。それだけ風が無く日差しがあって暖かかった証拠だ。

 1時間強の休憩でかなり疲労が回復、帰路に付く。帰りは1762m峰は巻かずに稜線付近を通過、雪庇に気を付けて端は歩かなかったが、大きく巻き過ぎない方が傾斜が緩く歩くのが楽だった。沖ノ追落を登り返して1870m肩でいったん休憩し、この後の狭い稜線のトラバースに備えてアイゼンに履き替える。しかし往路よりもなぜか恐怖感が薄らいでいた。雪が緩んで潜るせいか? 再び尾根が広がったところでワカンにスイッチ。以降はずっとワカンのままの行動だった。

 予想していたが最後の平ヶ岳への登り返しはきつかった。快晴の青空に向かって急斜面を登る様は「天国への階段」と呼びたくなるような登り。直線的に登るのは足にきつすぎてジグザグを切って高度を上げていく。もう時刻は午後1時を回っていて、おそらく平ヶ岳山頂は無人だろう。この分だと休憩時間を含めると昨日と同じようにテント到着は午後4時くらいになるかも。

 県境稜線に乗ると大水上山方面からのトレースが朝より濃くなっているような印象あり。朝に出合った若者2人パーティーの他に縦走してきたパーティーがいたのかもしれない。広大な山頂部は無人で積雪計だけぽつんと立っていた。驚いたことにこの快晴の日差しの中でもまだエビのしっぽが一部残っていた。体感温度はさほど低くはないが気温はかなり低いのかもしれない。手持ちの温度計は直射日光を浴びているので+10℃を指していた。

 北西の冷たい風が強いので南側に下ってまたもやひっくり返って休憩。そろそろ出発しようという時に登ってくる人影を発見、もう午後2時なので山頂での休憩を含めるとテントに戻るのは何時になるのだろう? もっとも、テントをどこに設営したのか不明だが。1911m峰よりも平ヶ岳側の可能性もある。今の時期は開けた場所なら午後7時くらいまで明るいので、私と同様に1911m峰付近に幕営しても明るいうちに戻れるが。登ってきたのは中高年の3人パーティーだった(私も中高年に分類される年齢になっているが)。

 入れ違いでこちらは出発。まだテントまで2時間はかかるだろう。登り返しが無い平坦な尾根ならもっと早いがアップダウンがあるので時間もかかるし体力も消耗する。白沢山に登り返すと若い男女のペアがやってきた。これから平ヶ岳目指すのだからちょっと遅すぎないか? さっき考えたように午後7時くらいまでライト無しで動けるが・・・。夕方に気温が下がって今緩んだ雪が締まって体力的に楽になる点はあるけど。それとも明日の天候を心配して無理してでも今日のうちに平ヶ岳に登ってしまおうという計算かもしれない。まあ、この尾根は危険個所は無いので大丈夫だろう。10分ほど立ち話して分かれた。

 樹林に覆われた鞍部へ下り、最後のきつい登り返し。ピークから振り返れば平ヶ岳が遠い。あの2人はどこまで登ったかな? 1920m峰から1911m峰を見るとてっぺんに鮮やかな黄色のテントが立っている。これは後続の3人パーティーか、それとも男女ペアのものか? ここに来るまでにテントが無いか気にしながら歩いていたが気付かなかったので、後続2パーティーも少なくとも1911m峰まで戻ってくるのだろう。最終的にはこのテントは男女ペアのものだと判明、持主は午後7時近くに戻ってきた。御苦労さまでした。

 こちらは昨日に引き続いて午後4時にテント到着で行動終了。12時間近い行動時間で今日もよく動いて疲れた!

 

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